石岡ショウエイBlog『猫まみれ涙娘。』

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作家の端くれが、漫画やイラストで、エンタメ寄りの記事を書いております。

洋画タイトルのひどい邦題、伝説級ランキング/クソ映画、逆にオススメ?

 このブログで過去に二度記事にしてきた、洋画の邦題これでいいのか問題。

 元のアメリカ版タイトルとぜんぜん意味が違うじゃねえか! ってやつ。

 

 一回目は、いいものから疑問なものまで、幅広くまとめた「メジャー級」50選

 二回目は、これでいいのか、だます気なのか、と声をあげたくなる「マイナー級」40選

 三回目として今回は、議論の余地がないひどい日本版タイトル、「マニアック級」を、ランキングを交えて10選、お届けする。

 

  まず前提にしておきたいのは、元ネタがすでに低予算な企画であるがゆえに、日本の配給会社も、最初から話題性を重視して意図的に突拍子もないタイトルをつけているということだ。

 今回の記事における「ひどい」はむしろほめ言葉である。スマイルを忘れずにお読みいただきたい。

 

 

 ベスト5の発表の前に、殿堂入りだと考えるタイトルをひとつ挙げておく。

 

 

◆殿堂入り◆『悪魔の毒々モンスター』(1984年)

 原題『The Toxic Avenger』(有毒の復讐者)    

 

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「どくどく」という単語の響きが、流血シーンを連想させるたまらないネーミング。

 B級映画好きはチェックしてて当たり前ともいえる作品なので、殿堂入りタイトルとさせていただいた。

 

「毒々モンスター」は、有毒廃棄物をあびた元いじめられっ子であり、悪をかぎわけて成敗する正義の存在となる。

 あおりの文句もクレイジーだ。

「俺と女とポチをいじめたやつは、お前のはらわたで顔を洗ってやる」

 意外と清潔好きなのだ。パッケージでもモップを持ってるしね。

 

 続編タイトルは、『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く』

 日本に来ちゃった! 安岡力也や関根勤、永井豪先生まで出てるよ!

 

     *

 

 さて本編、ベスト5にいってみよう。

 

 

逆に観たくなる? 洋画のひどい邦題、伝説級ランキング!

 ひどい邦題、第5位『変態村』(2004年)

 ひどいというか、ふざけたタイトルと思われただろう。

 だがパッケージを見ると、ふざけているのかマジなのか、戸惑ってしまう。

 

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 原題は『Calvaire』 、イエス・キリストが磔にされた「ゴルゴタの丘」を意味するラテン語である。

 映画賞も受賞しているらしい、思いっきりマジな作品だった。マジだが、狂気、不条理を描いているので、理解しろといってもムリがある。

 

 ここでの「変態」という言葉は、日常的に用いられる「性的倒錯」の意ではなく、「異常な、病的な状態」を意味しているのだろう。

 ゆえに、邦題をつけた方もふざけてはいないのかもしれないが、タイトルを見ただけでは、ふざけたものを期待してしまう。

 性的倒錯も含めた変態さんが出てはくるが、まったく笑えない。ひたすらマジな、解釈に困る作品であった。

 

 類似タイトルに『変態男』『変人村』『変態ピエロ』という作品があり、四作品をまとめてDVD-BOX化されている。その名も、『変態箱』!

 

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Amazon

 

 鮮烈な赤に、達者な筆文字によるタイトルロゴ。

 まるで初心者お断りのマニアックなAVである。持っているのを知られたくないパッケージ、ナンバーワンかも。 

 なにからなにまで、ふざけているのかマジなのか戸惑う作品だ。

 

 

ひどい邦題、第4位『殺戮職人芝刈男』(2002年)

 漢字のみが淡々と並ぶ字面が、2000年以降のタイトルとは信じがたく、逆に新鮮でかっこよく思えて選出。原題は『The Greenskeeper』(グリーンキーパー)

 ゴルフ場を舞台に惨劇が繰り広げられるホラー作品。ゴルフ場ならではの殺害方法が展開されるところにオリジナリティがある。

 

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 パッケージデザインがよすぎてB級感が損なわれているのは、喜ぶべきことなのか。

 獲物とすることを「狩る」なんて言い方をするが、この作品に関しては、「刈る」と書いたほうがふさわしいだろう。

 

 ・・・・・・うまいこと言ったなんて思ってないから!

 主演は、当時の現役メジャーリーガー。ゴルフ場じゃなくて野球場を舞台にしたほうが話題になったかも。

 

 

ひどい邦題、第3位『妖怪巨大女』(1958年)

 これもポスターデザインがすばらしい。部屋に飾りたいくらいだ。 お姉さん、パンツ丸見えだと思いますよ。

 

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 地球外生命体に遭遇して巨人化させられた女性の窮地を描いている。50フィートは、メートル換算だと15メートル24センチ。

 原題は『Attack of the 50 Foot Woman』(50フィート女の攻撃)

 

 90年代に入ってからも、リメイクされたりパロディ作品が作られたりと、アメリカではカルト的な人気を博した作品。

「巨大女」という投げやりなネーミングで選出を決めた。

 が、「妖怪」には違和感アリ。 まだ「怪獣」のほうがあう気がする。

 

 2012年には『Attack of the 50 Foot Cheerleader』というインスパイア作品が、なんと3D映画として製作された。愛されすぎだろ、巨大女!

 日本でも『進撃の巨人』ブームはすさまじかった。あの作品も、女型の巨人がかなりの存在感を示した。巨大なものは、無条件に人を畏怖させるものがある。

 

 

ひどい邦題、第2位『死霊の盆踊り』(1965年)

 なぜ和風テイストを盛り込んだ! しかもポジティブな感じの!

 

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 まあ、原題『Orgy of the Dead』(死霊の乱痴気騒ぎ)からしてひどいのだが。

 ホラーにカテゴライズされるようだが、怖さは皆無、上映時間のほとんどが、「死霊」とされるセクシーなお姉ちゃんたちの謎のダンスで占められている。

 脚本はあのエド・ウッドですよお客さん! 製作した映画がすべてコケたといわれる映画界のレジェンド、あのエド・ウッドですよ!

 

 内容のひどさは、おそらくこれがナンバーワン。

 だがふしぎと、時間を返してくれとは思わなかった。

 

 ウソ。思った。「だまされたと思って観てみて」と誰かをだましたい。

 なんとなく、松本人志監督作品に通じるものがあると感じたのは私だけだろうか。年末恒例「笑ってはいけない」シリーズのワンシーンのようであった。

 考えるな、感じろ、なマニア向け作品。

 

     *

 

 第1位の発表の前に、惜しくもランキング入りを逃した邦題を4作、ご紹介。

 

 

『26世紀青年』(2006年)

  すでに失笑されているだろうが、パッケージをご覧いただこう。

 

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 間違いなく、浦沢直樹先生の『20世紀少年』に乗っかった邦題である。

 サブタイトルの「ばかたち」は最重要人物「ともだち」のパロディであろう。

 

 となるとジャケットに写ってるキャストも、後ろにいるヒゲの太っちょはマルオ、ヒゲのロン毛はオッチョに見えてくる。

 ということは右の女性はカンナを演じた平愛梨か? 真ん中は、唐沢寿明か?

 やばい、似てなくもない気がしてきた。なかなかよくできたタイトルかも・・・。

 

 人工冬眠に入っていた主人公が目覚めたのは、インテリが子作りを拒否し、バカしかいなくなった26世紀の世界だった、という筋立て。

 原題は『IDIOCRACY』で、バカばっかりの民主主義、といったところ。表面的にはふざけた設定だが、大げさにしただけで、じつは現代社会を痛烈に皮肉っている。

 

 

『コップ・アウト 〜刑事した奴ら〜』

 サブタイトルは「デカしたやつら」と読む。おお・・・、この、うまいこといおうとして寒い感じ、懐かしくもブルッときますね。80年代のセンス。

 しかしこれがなんと、2010年のタイトルなのである。マジか! そして主演は・・・

 

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  ブルース・ウィリス! マジか!

 日本での興行的な成功率はかなり高いほうであろうに、まさかのB級扱い!

 

 まあ、実際にB級テイストを狙った比較的小規模な作品なのだが。気のせいか、パッケージのブルース・ウィリスの表情も、みょうに眼が澄んでておかしな感じ。

 原題は『Cop Out』(責任逃れ)、ディスク化されるなかでサブタイトルは削除された。

 

 

 さて、ランキング入りを逃した4作品、残りの2作をたたみかけるようにご紹介。

 

 

『ランボー者』(1987年)

 見た瞬間、とほほ、となるタイトルだ。

 

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 いうまでもなく、シルベスター・スタローンの大ヒット作『ランボー』に乗っかった邦題である。いうまでもなく、「乱暴者」とかけたダジャレである。

 原題は『STEELE JUSTICE』(正義のスティール)

 

 本家『ランボー』とはまったくの無関係、・・・と思いきや、主演のマーティン・コーブは本家の第二段『ランボー 怒りの脱出』に出演していたという縁がある。

「今度は俺の出番だ!」というキャッチコピーがむなしく響く。

 

 

『コマンドー者』(1987年)

 ふわぁああああ!

 

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 説明するのも無粋だが、あえてしておこう。

 かつてスタローンとアクション俳優の双璧をなしていた、アーノルド・シュワルツェネッガーのヒット作、『コマンドー』に乗っかった邦題だ。

 

 が、しかし、『ランボー者』は、「乱暴者」という日本語があるからダジャレとして成立するするのだが、「こまんどう者」なんていう日本語はない。

 乗っかり邦題の『ランボー者』にも乗っかった邦題なのである。

「キング・オブ・乗っかり邦題」の座を与えよう。

 

 原題は『GET THE TERRORIST』(テロリストを捕まえろ)

 邦題を考えた者も捕まえろ。

 

     *

 

 さあ、みなさんの記憶には『コマンドー者』が忘れられない深さで刻まれてしまったことだろうが、ランキングに戻り、第1位を紹介する。

 前もっていっておくが、『コマンドー者』を越えるような面白さがあるわけではない。

 私が、言葉を扱う職業に就く身として、語感がすばらしいと感心すらした邦題である。

 ひどいにはかわりないのだが、純粋に評価したいタイトルである。ひどいにはかわりないのだが。

 

 では、栄えあるナンバーワン。

 

 

 

 

 

ひどい邦題、第1位『ハリウッド人肉通り』(2003年)

 この言語センス、うらやましくなるレベル。なぜか和風のキャッチコピー「通りゃんせ」もそこそこ怖く響く。

 

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 字面をずっと眺めていると、ふいに、オシャレかも、とすら感じる瞬間がある。

 流行に敏感な通りといえば、表参道、自由が丘、そしてハリウッド人肉通り♪

「きょうは人肉通りで夏物ショッピング」なんてうきうきでいわれたら、止められない。

 

 原題は『THE GHOULS』(グール)というなんの工夫もないタイトルで、肝心のグールも、ただの白塗りメイクという、学生サークルでももっとがんばれるレベルだった。

 すこしは存在感のある作品になったのも、この日本版タイトルのおかげだと考える。

 

     *

 

 ということで「洋画のひどい邦題、伝説級タイトルランキング!」は『ハリウッド人肉通り』を第1位とさせていただいた。

 観たくなった作品があれば、紹介した私としてもうれしいかぎりである。その質はまったく保証しないが。

 

 私が漫画の仕事場を都内に構えていたころ、近所にあったレンタルショップは、 B級、C級の品ぞろえが異様に充実していた。だれが借りるんだ、と失笑しつつ、私が借りていた。

 私が引っ越すころに、ショップもつぶれた。懐かしい記憶である。

 

 

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