石岡ショウエイBlog『猫まみれ涙娘。』

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作家の端くれが、漫画やイラストで、エンタメ寄りの記事を書いております。

売れる漫画家が超人である理由/秋本治、真島ヒロ、鈴木央

 世の中にはさまざまな職業があり、それぞれにたいへんであろうことは十分察するのだが、それでも、週刊連載をつづける漫画家のつらさは、個人的には、「地獄」とたとえたいくらいのものである。

(加筆:2016年10月29日)

 

  不定期連載『マーガくん』

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 と、こんなふうに、24時間闘えますよ的な人種しか、やっていけないような気がしている。

 漫画家は早死にする、なんてことはよくいわれるが、過労が一因となっているだろうことは、疑いようがない。

 

 その過酷さを地獄にたとえたが、じつをいうと、世に週刊漫画雑誌は数あれど、そこで連載している作家は、かならずしも毎週、自分の作品を載せているわけではない。

 

 数週に一度休載をもらい、スケジュールを調整したり、単行本向けの作業をしたり。そもそも、一話を7日間ではなく10日間で描く前提でいたり。

 

 

信じがたい創作能力を誇る三人の伝説的漫画家

漫画制作能力のキング・オブ・キングス「秋本治」

 そんななか、長きに渡って一度も休載をしたことのない作家がいらっしゃる。

 

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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治先生である。

 開始はなんと1976年、今年で40年! 

 

 40年ものあいだ、過酷な週刊連載を一度も休まずに描きつづけていらっしゃる。

 まもなく単行本は第200巻という節目も迎える。

 

 おそるべきことに、月刊少年ジャンプという雑誌が存在したころは、『こち亀』と併行して、『Mr.clice』という作品の不定期連載もされていた。

 そのうえスケジュールを前倒しすることにより、毎年海外旅行に行っていらっしゃると聞く。

 

 間違いなく超人といえる。

 どんなパワフルな方なんだろうと想像していたが、ごあいさつさせていただいたときに私が抱いた印象は、「とてもおだやかな方」だった。

 

 毎週の楽しみが失われるのは残念かもしれないが、それでも私としては、そろそろ定期的に休載を挟んでいただきたいと考えてしまう。

 

(※200巻をもって、「こち亀」は終了した。衝撃的なニュースだったが、どこかほっとしたような気持にもなった。本当にお疲れさまでした)

 

漫画制作能力のスピード・キング「真島ヒロ」

 私が子どものころ、『ドラゴンボール』が、ジャンプに二話同時掲載されていることがあった。

 編集部がどのような交渉をしてこんな夢のようなことを実現させたのか知らないが、鳥山先生サイドから見れば、かなり残酷で無慈悲な仕事の依頼である。

 とはいえ、当時一読者であった私が、ハイテンションになったのは事実だ。

 

 そして2013年の夏、あらたな伝説をつくる先生が現れた。当時流れたツイートでまず衝撃を受けた。

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 『FAILY TAIL』の真島ヒロ先生である。

 なんと、三話同時掲載という信じられない仕事をされた。しかも、二週連続、である。

 真島先生はゲーム好きでも知られていて、やりたいソフトはしっかりチェックされているという。どんなスピードで仕事をされているのやら……。

 

 

漫画制作能力の、タフ・キング「鈴木央」

 漫画家は孤独になりがちな仕事ではあるが、週刊連載は、一人で執筆することは不可能だ。背景やベタ入れ、トーンといった作業はアシスタントに描いてもらわないと、締め切りは絶対に守れない。

 にもかかわらず、背景も自分で描きながら週刊連載をつづける先生がいらっしゃる。

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 『七つの大罪』の鈴木央先生である。

 

 人物だけでなく、背景もじつに個性的、かつ魅力的な作家さんであり、アシスタントに任せるわけにはいかないのかもしれない。

 が、描き込みがかなり多い背景であり、察するに、到底ひとりでできる仕事量ではない。

 にも関わらず、アシスタントの仕事はベタ、効果線、いわゆる仕上げ作業のみだという。

 

 私自身は、じつに描くのが遅い。

 週刊連載していたころは、四人のレギュラーアシスタントに頼っていた。

 漫画というものは、作者がひとりで「その世界のすべて」を描くことが可能な点が魅力であると感じているので、鈴木先生にあこがれを抱き、見習いたいとも思うものの、絶対にムリである。

 

     * 

 

 ということで、超人といえる漫画家を、現役の週刊連載作家の中から三人、早さといった面に注目して選んでみた。

 別の視点からの選出は、またの機会に。

 

 

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