石岡ショウエイBlog『猫まみれ涙娘。』

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石岡ショウエイ漫画Blog:猫まみれ涙娘。

作家の端くれが、漫画やイラストで、エンタメ寄りの記事を書いております。

君の名は。は恋愛映画ではない。男同士もアリ!1P漫画評価感想

映画×妄言

◆ようやく観たショウエイの、ビフォア・アフター

 

君の名は。1P漫画

 

 とある方は、私の感覚と逆、「ディスるのが許されない空気がある」と評価しない側への圧力を感じているようだったが、どうなんだろう。

 どちらにしろ、熱く意見を交わしたくなる作品が生まれるのは、いいことだ。

『シンゴジラ』につづいて、今年は邦画が元気で、うれしい。

 

 

 ツッコミどころがあまりにたくさんある、なんて評も耳にしていたが、ツッコミどころって、あるかないか、ではなく、興を削ぐ要素になるかどうか、だと私は考えていて、本作に関しては、ほとんど気にならなかった。

 

 ということでざっくりとだが、振り返ってみる。

 

 

『君の名は。』実況風ネタバレ感想

 全四章構成。メモりながらの鑑賞ゆえ誤解、見逃しの可能性は多分に。

第一幕:イントロダクション

 なんか降ってきた!

 ベジータがポッドに入ってやってきた?(違った)

 

 えっ、OPがあるの? 映画なのに?

 すごくテレビアニメっぽい、これはこれで入りやすいか。

 考えてみれば、洋画でも『007』にはアバンがあり、それこそが見どころのひとつなんだし、これはひとつの潮流になってもいいのでは。

 

     *

 

 主人公は、田舎に暮らす女子高校生、三葉(みつは)さん。

 家業は神社、本人も巫女。町長の娘。

 なんか方言が私の地元に近い感じがして、こそばゆい。岐阜あたりかな?(ピンポン)

 地元が嫌いで、東京に憧れてるのね。わかるわかる。伝統を過度に重んじる古風な家柄だから、なおさらだろう。わかるわかる、超わかる。

 

     *

 

 もうひとりの主人公、都会に暮らす男子高校生、瀧(たき)くん。

 が、この日の身体の中身は、なぜか三葉さん!

 夢という認識のもと、東京をエンジョイする、瀧くんの皮をかぶった三葉さん。

 

     *

 

 やがてふたりは、ときどき精神が入れ替わっていることを明確に認識する。

 三葉さん、瀧くん、それぞれの、入れ替わった際の行動の影響で、元に戻った際のふたりは、それぞれに戸惑うことになる。

 だがそれは、けっして悪いことばかりではないようだ。

 

 ここでふたたび、RADWIMPSの音楽がジャーンとかかって、それぞれのモノローグ的ナレーションで現状を整理。「序章終わりです」感。

 なんて親切な作り。大胆すぎて驚いたし、笑ってしまったけど、こんな親切な映画、いまだかつてあっただろうか。

 入れ替わりがややこしいから、それ以外は徹底的にわかりやすく、って感じかしら。

 観客に親切な造りを心掛ける監督は、大好きです。

 

 

第二幕:明かされる事実

 身体を共有しつつも会ったことのないふたりは、お互いのことを意識しはじめる。

 そらそうだ、だれよりも近くて、だれよりも遠い存在なんだから。(うまいこといったつもり)

 しかし、ある日を境に、入れ替わりは起こらなくなる。

 

     *

 

 もともと、なぜか電話もメールも通じない。

 瀧くん、三葉さんの地元に会いに行く決意。

 うん、会いたくなるよね。会ったこともないのに、体を共有するような深い関係なんだから。

 会ったこともないのに深い関係……(うまいこといったつもり)

 

 ようやく三葉さんの住む町にたどり着いた瀧くん。

 だがそこは、三年前に隕石が落ちて滅んでいた……。

 

 マジか!

 瀧くんは、三年前の時間軸に存在する三葉さんとやりとりしていたのだ。

 物理的距離だけでなく、時空も超えたかかわりだったのか。

 

 で、三葉さんは、もう死んでることが確定?

 あ、確定した。

 いやや、こんな展開いやや……。(夢中)

 

 

第三幕:コンタクト

 思いついたように行動を始める瀧くん。

 過去に三葉さんの体で来たことのある、町の神聖な地で、時間をさかのぼれる可能性のある行為を行う。

(前フリをしっかりしてあるので、不可思議展開に違和感はなし)

 

 三年前の、三葉さんの身体で目覚める瀧くん。隕石が落ちるのは、今夜!

 

     *

 

 明かされる事実。

 じつは三葉さんも、生前、三葉さんの時間軸で、瀧くんに会いに行っていた。

 しかしそのときの瀧くんは、当然、まだ三葉さんを知らない。相手にしてもらえない三葉さん。

 おお、切ないじゃないか。これこそ新海演出だ。情報を観客にばらしていくタイミングも絶妙。

 

     *

 

 瀧くんの時間軸で、瀧くんの体で目覚める三葉さん。

 

     *

 

 求めあう二人は、時を超えて、神聖な地で、ついに出会う。

 

 だが、すぐに見えなくなってしまう。それぞれの時間軸に戻ってしまう。

 そして瀧くんは、記憶があいまいになり、三葉のことを、忘れていく。

(このあたりの演出だけ、のちの盛り上げのための前フリ感が強すると感じました)

 

 

第四幕:ストップ・ザ・滅亡!

 瀧くんの意思を受け継いだ三葉さんの、「隕石が落ちるからなんとかして町の住民を避難させよう大作戦」開始!

 ラッドウィンプスの曲が、三度目のイン!

 あはは。ラッドのプロモ? って揶揄されるのも、わかる。

 

 でもこれ、30分のテレビアニメ全4話を、まとめて観てる、って考えたらどう?

 だったら30分ごとに曲が入るの、当たり前だし。かなりきれいに四分割できる構成だし。

(これが冒頭の漫画で述べた、テレビアニメの総集編のよう、と感じた理由です)

 

     *

 

 大胆なアイデアの行使で町民が避難開始。

 しかし間に合いそうにない!

 落下をはじめる隕石!

 

 でも、あきらめない!

 

     *

 

 ――5年後。

 瀧くんの時間軸の、東京。

 瀧くんは就職戦線で苦戦している。

 大人への通過儀礼だ。少年だった彼も、大人になって変わっていくことを示している。

 

 三葉さんのことは、覚えていない。

 でも、だれかを探していることは、覚えている。

 ここだけは、5年たっても、大人になろうと、変わらない。

 

     *

 

 隕石の落下の際、町民の避難は、できてた模様。

 ってことは、三葉さんもどこかで生きてるんだね!

 

 会えるのか? 会えてくれ、「会えそうEND」でもいいから!

 でも、新海誠監督作品だもんな、会えないほうがいい感じなんだよ、きっと……。

 

 と思ったら、ふたりは……!

 

 イエス、RADWIMPSも来い! ここで来なくてどうする!

 来たぁああああ! 何度目だっけ、とにかくイン!

 

 ハッピィイイイイ……、エンドッ!

 ここからの展開、第二部は、みなさんの脳内で!

  私、ニコニコ!

 となりのおばちゃんも、ニコニコ!

 

 

感想まとめ

 ご覧のとおり、一観客としておいしくいただきました。

 展開が盛りだくさんなのに、上映時間は106分とコンパクト。

 すばらしい。新海誠監督独特の、静かに時が流れていく気配は、本作でもしっかり感じられたのに。

 

     *

 

 じつは鑑賞前、私はある恐れを抱いていた。

 自分のような人生に疲れきった身には、本作における若い男女の青春模様は、まぶしすぎるのではないかと。

 だが、まったく問題なかった。

 

 というのは、私は本作において、恋愛要素をあまり重要だとは認識しなかったのだ。

 時空を超えた存在の相棒と、危機に瀕した町を守る。

 こちらの要素のほうが重要だった。

 

 美男美女だから成り立つ物語、なんて評を目にしたが、私からすれば、ぶさいくな男とぶさいくな男、でも成立する物語だったと思う。

 なにしろ、たがいに体を共有するのだ。それは恋愛なんかより、ずっと深いつながり。

 たがいを大切に思う気持ちは、ぶさいくだろうが同性であろうが、生まれるだろう。

 

 若くて見た目もいい男と女にすれば、感情移入の敷居が低くなるからそうなっているだけであって、人間ならば、だれとだれでも設定可能なのではないだろうか。

 つながりは、かならずしも「恋心」で支えられている必要はない、というのが私の思い。

 

 たとえば、昭和の不良少年と現代のオタク少年が、時空を超えてたがいに影響を及ぼしあい、やがて、たくさんの人を救うべく共闘する。

 そしていつの日か再会し、こそばゆい気持ちながら、ハイタッチする。

 そんなふうな置き換えも可能なのでは?

 

 それじゃ序盤の入れ替わりが面白くない?

 でも、立場が違えば、「王様と乞食」的な面白さはいくらでも演出できるはず。

 たとえ男同士であっても、体の違いには敏感に反応するさ。

「でけぇ!」

「ちいせぇ!」

 とかね!

 

 話がそれてしまった。

 私が言いたいのは、これはふたりの人間の、時空を超えた「つながり」の物語であり、その「つながり」の意味を、たんに「恋心」とだけ定義するのは、もったいないな、もっと幅広く適用したいな、ということ。

 

     *

 

 設定の説明不足感については、本作においては、想像や類推で補完できたから気にならなかった。

 

 設定の解説と思われるシーンを観ていると、「作り手が、受け手に対して説明責任を果たそうとしてる」とさめた気持ちになることの多い、私ならではの感覚かもしれないが。

(よほど新しい発想でないかぎり、先人のあのパターンね、と別の作品を脳内でリストアップしてしまうので、設定の説明は、ぼんやりとしてたほうが没入感をそがれなくて助かる)

 

     *

 

 運命的な出来事が幾度も重なる二人。

 その一方がなぜ、ごくふつうの、なんてことない存在の、彼だったのか。

 その理由も、私にはいらない。

 あれは、ごくふつうの、なんてことない存在の、私なのだから。

 

 だからこそ、都合のいい展開も、許される。私が行う行為なのだから、フィクションの中でくらい、うまくいってもらわなきゃ、困るんやよ。

(三葉の妹の「~やよ」って語尾が、地元っぽくて本当にこそばゆい。「やよ」効果で本作の評価が底上げされてるくらいやよ)

 

 

次回作への期待

 新海誠監督ご本人が、ヒットしすぎて、つぎへのプレッシャーがえらいことになってる、といったことをおっしゃっていたが、まあ、期待はしてしまう。

 ただ、そもそも本作以前から、だれが監督かで鑑賞作品を選ぶような客にとっては、最新作をつねに追ってしまう対象だったのだから、じつはそれほど状況は変わりないのでは、とも思う。

 ああ、製作会社やスポンサーからのプレッシャーは、すさまじいことになるんだろうな。私なら、胃薬をジョッキで飲む事態になりそうだ……。

 

     * 

 

 本作は、いわば個人競技のような作り方から、団体競技のような作り方に、監督が制作体制をシフトさせた作品。

 それによって、監督ご本人も想定してなかったような相乗効果もあったことだろう。それは、つぎの作品でも当然起こりうるはずだ。

 

 ということで、私はただただ次回作をニヤニヤしながら待つことにする。となりのおばちゃんとね!

 

 本作『君の名は。』に得点をつけるなら、私の個人的嗜好が強く反映されて——

 4.3/5.0

 といったところ。

 

 

君の名は。公式ビジュアルガイド

 

君の名は。 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

 

     *

 

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