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石岡ショウエイ漫画Blog:猫まみれ涙娘。

作家の端くれが、漫画やイラストで、エンタメ寄りの記事を書いております。

ジブリの後継者に非ず、細田守監督おすすめ映画ランキング

映画×妄言

「夏休み向けオススメ映画」について書こうと思ったら、頭に浮かぶのは細田守監督作品だらけ。

 そして今宵は『バケモノの子』地上派初放送。

 そうだ、細田作品だけのレビュー記事を書こう。

 

 2016年7月22日は、日テレが『バケモノの子』を放送する裏で、フジは『ワンピース FILM Z』を放送。

 細田守監督はワンピース映画第6段『オマツリ男爵と秘密の島』の監督でもあるから、なんだか同門対決を見ているかのようだった。

 

二郎丸とウソップ、裏番組対決

 このふたりは中の人がおなじ!(CV:山口勝平)

 ひとりの出演者が、おなじ時間帯で複数のチャンネルに出ることはテレビ業界ではタブーなのだが、今回は「山口勝平」ではなく、「二郎丸」と「ウソップ」だから大丈夫なのだろう。

 

 

細田守監督、劇場公開作品をランキング形式でおすすめ

 劇場公開された長編アニメは5本なのだが、短編を1本加えて、全6本をカウントダウンする。短編の1本がなにかは、細田ファンならすでにわかってしまっているだろうが。

 ランキングは、オススメ順ではない。オススメは、全部だ。ランキングはあくまでも、私の好きな順である。

 

第6位『バケモノの子』(2015年)

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 親のいない少年が、バケモノたちの暮らす異世界で、生きる強さを身につけていく。

 

 最新作が一番下? いやいや、これが下というよりは、これよりもさらに上のものがある、と解釈してほしい。 

 男の子版『千と千尋の神隠し』といった紹介の仕方もありなのだが、こっちは子どもが少年になるまでのロングスパンの物語である。

 

 中盤で異世界からこちらの世界に戻り、ヒロインが現れる展開に賛否があったが、私はそれでよかったと感じている。

 現実の世界でも、子どもが少年になるころには、理想と現実のあいだで苦しみはじめるもの。主人公の悩みが、リアルで感情移入しやすくなったと思う。

 

 

第5位『サマーウォーズ』(2009年) 

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 憧れの女の子に誘われ、田舎の大家族にお邪魔するはめになった少年が、対人関係に戸惑うなかで、世界の危機に挑むことになる。

 

 夏が舞台であることもあり、すでに夏休みの定番映画になっている気がする。

 田舎のいいところ、いやなところ、その雰囲気が、田舎者の私としては、ものすごいわかる。主人公のさえない男子高校生も、そのさえない感じが「おれたちの代表感」があっていい。

 

 家族愛、なんていう気恥ずかしくもなる暖かいものを描きたい思いと、しっかりとエンタメせねばというプロ意識が融合。

 細田監督が、アニメファンだけではない、一般層にも知られるドメジャーな監督になった瞬間である。

  

 

第4位『時をかける少女』(2006年)

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 男子高校生がふたり、女子高生がひとり。それだけで十分物語を感じられるのに、タイムリープという要素が加わって、忘れられない夏が始まる。

 

 細田監督の出世作。細田入門ならここから始めるべき。

 ミニシアター系のような公開規模だったのに、ネットを中心にどんどん盛り上がって、上映期間もどんどん延びていくさまが心地よかった。

 

 ついにおれたちの細田監督が世間に受け入れられた! といった感慨をおぼえた人、多かったんじゃないかな。

  細田守作品の最大の魅力は、個人的には、独特の「間」。オフビート感といえばいいのか、ゆるさといえばいいのか。作品が一般化していくなかで減少していっている気がするが、この作品ならたっぷり堪能できるはず。

 

 

第3位『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)

 

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 狼男を愛し、その子どもを身ごもった主人公は、男が亡くなったあとも、ふたりの子とともに強く生きていく。

 

 女性層からは、子育ての大変さが描けていない、といった批判もあったが、男の私としては、これくらいが、エンタメ作品としてちょうどいいさじ加減であった。

 舞台は現代社会だが、話としては童話のようなものであり、説明過多にならない感じも心地よかった。

 

 背景の美しさがクローズアップされることも多かった。

 後半の舞台は私がよく知る地域だったのだが、実物よりきれいだと見とれた。

 アニメの聖地巡礼をする者の気持ちが、初めてわかった気がした。

 

 人でも狼でもない子どもたちが、人として生きるのか狼として生きるのか、という選択を迫られ、それぞれにだす答えが印象的だった。そのためにも、子どもはふたり必要だったのね。

 

 

第2位『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(2005年) 

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  ご存じ、海だけでなく漫画界を制した漫画『ワンピース』の映画版。

 

 最大の魅力は、『ワンピース』なのに、終盤が、暗い!

 根っからのワンピースファンには、「熱さ」とは違うベクトルのシリアスさが受け入れがたく感じられるかもしれない。

 私には新鮮で、登場人物のあらたな一面を見られたような気もした。

 

 尾田栄一郎先生の作風と、細田守監督の作風が融合できていると受け取れるかどうかが、評価の分岐点かも。

 細田監督らしい、キャラデザインの「かわいさ」は、ワンピース映画史上随一である。

 語りすぎない、さらりとしたエンディングも好印象。

 

 

第1位『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(2000年) 

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 唯一入れた短編を1位にさせていただいた。

 漫画のアシスタントさんから、すっごいオススメされて観たのが最初。

 

 当時、細田監督の名はアニメ好きにしか知られていなかったが、当のアニメ好きからは、すでに絶大な支持を得ていた。

 その魅力に、私もやられた。なんだこの自由さは! ゆるい、ゆるいぞ! 心地いいぞ!

  もとは『デジモン』というテレビアニメシリーズであり、これはその映画版の一作。

 

 なので、これだけ観てもわかんないでしょ、と思われるかもしれないが、心配ご無用。

 設定がわからなくても、細田作品の魅力は、ばっちり伝わる。私がそうだった。

 第5位にした『サマーウォーズ』は、この作品のセルフリメイクだという声がある。私もおおむね、そう思う。

 一般性やテーマ性をくっつけたのが『サマーウォーズ』。それらをそぎ落として、ソリッドな細田イズムを感じられるのがこの『ぼくらのウォーゲーム!』だ。

 

 

細田守監督の次回作は

 ということで、ランキング形式で6作を紹介させていただいた。

 2016年三月の時点で、次回作に向けた動きがあることは報じられていた。

 具体的なことがわかるまでにまだ時間はかかるだろうが、心底楽しみである。

 

 途中で降板し、宮崎駿監督の手に渡った『ハウルの動く城』も、途中まででいいから観てみたかったものだ。

 

 とはいえ、メディアは細田監督のことを、宮崎駿監督の後継者のような位置づけで報じることには拒否感。

 

 私が苦手な言葉。

――第二の〇〇

――現代の〇〇

――和製〇〇

――〇〇の後継者 

 

 後継者扱いには、ご本人も抵抗があるようだし、作品を観ていれば、方向性が全然違うってことは、すぐにわかる。

 アニメファンだけでなく、一般受けもし、さらに世界でも評価される、なんていう、ガバガバのくくりに入れられてるだけかなと。

 

 今後、こういうのを作ってほしい、という希望は、ない。

 作りたいものを作ってくれれば、それが一番いい。どんなものでも、楽しむ準備はできている。

 

 

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