石岡ショウエイBlog『猫まみれ涙娘。』

石岡ショウエイ漫画Blog:猫まみれ涙娘。

作家の端くれが、漫画やイラストで、エンタメ寄りの記事を書いております。

漫画の世界のメガネの描き方/どこを省略するかに美意識

 んちゃ、ショウエイだよ♪

 

 個人的な印象だが、漫画業界はメガネ率が高かった。とくに男性陣。

 理由は単純である。

 

 みなオタクで、「めがねっ子」が大好きで、その気持ちが乗じて、みずからもメガネっ子になろうとしてしまうのである。

 

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 ウソ。

 怒られるわ。

 

 実際には、原稿の執筆という細かい作業においては、コンタクトだと目が疲れやすいと感じる方が多いからのようである。

 ゆえに仕事はメガネ、プライベートはコンタクト、ということになるのだが、オンオフがやがて面倒になり、いつもメガネ、という状態になりがちであると。

 

 

メガネへの不満と対策

 私もメガネマンである。オンオフつねに。

 以前、仕事仲間五人と街に出たとき、全員がメガネであることに気づいた瞬間、かなり恥ずかしくなったことはある。

 が、その街が秋葉原であることに気づくと、逆にものすごく溶け込んでいるような気もして、それはそれで、やはり恥ずかしかった。

 

 メガネに関する最たる不満は、長く使っていると、ずれ落ちるようになること。

 漫画やアニメにおけるメガネキャラの「クイッ」には、知性を漂わせたり、企みをにおわせたりする意図があるが、現実世界では、ただのじゃまくさい行為である。

 

 クイッ。

 ずれ落ちたメガネ越しに人と話してしまったときは、老眼鏡を使っているかのような、ものすごく老けた気分になる。

 

  クイッ。

 ずれ落ち対策は、いろいろ検討した。つるを内側に曲げて顔を挟む力を強くすればいいかと考えたが、こめかみを締めつけられるのは不快だった。

 

 クイッ。

 鼻との接点であるパッドに、滑り止めのようなシールを貼る案も考えた。

 ネットで調べると商品化されたものを見つけた。

 シールではなく、塗るタイプのものもあった。

 が、私は肌が弱いので却下せざるをえなかった。

 

 クイッ。

 ツルの末端にひも的なものをつけて後ろでしばる。

 これも商品がいくつかあったが、スポーツでもすんの? ってなおおげさな感じがして、羞恥をおぼえた。

 

  クイッ。

 つぎつぎ却下していくなかで最後に残ったのが、「モダン」にアタッチメントをつけるという流派であった。

「モダン」とは下記の部分である。

 

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 名の由来は、なんだか存在が「モダンな感じがしたから」だそうである。

 命名者の主観が強すぎる……。

 

 クイッ。 

 で、ここにつける商品にもいろいろあって、耳への引っかかり部分を大きくするタイプと、滑りにくくするタイプの2パターンに大別できた。

 

 クイッ。

 前者は、パーツが大きいためおおげさに感じたのでスルー。

 よって後者を選ぶことになった。そのなかのひとつが、私としては大ヒットだった。

 

 クイ…ピタッ!

 これをつけて以降、私は、クイッ、をすることがなくなった。

 それがこれ。

  

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 小さなゴムの輪っかである。

 厚めで、切れ目が入っている。そこに「モダン」を貫通させる。

 

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 ゴム製なので側頭部に強い摩擦力を生み、締めつけるわけでもないのに、メガネはまったく動かなくなった。エクセレント!

 もっと早く出会いたかった。私がこれまで「クイッ」にどれだけの時間を費やしてきたか。

 

 商品名は「ピタリング PITARING」

 2個1セットで、500円ほど。ちと高い気もするが、クイッ、から解放された喜びは大きい。

 

 

漫画の世界のメガネキャラ

 メガネをとると、さえない男はイケメン化し、さえない女は美女化するのが、漫画やアニメの世界。

 実際には、メガネは想像以上に利用者のキャラクターの一部になっているため、外すと、「寝る前ですか?」といった、物足りなさを感じさせてしまうことが多い気がする。

 

 メガネにもさまざまなデザインがあり、どのデザインを選ぶかによってキャラクター性は大きく変わってしまう。

 よって漫画家はメガネキャラをだすとき、どんなデザインのメガネがふさわしいか熟考する。

 

 レンズは丸いのか、四角いのか。縁はあるのか、ないのか、それともハーフリムか。

 デザインの選別をするのは、漫画家だけでなく、小説家もおなじ。

 が、漫画家にかぎっては、描く際にどの程度簡略化するかも考える必要がある。

 

漫画のメガネ、描き方のパターン

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  • 鼻パッドあり&ツルあり:正直、面倒くさいのでスタッフに任せたい。リアリティにこだわりのある作家仕様。
  • 鼻パッドなし&ツルあり:自然な存在感。一般的な仕様か。
  • 鼻パッドなし&ツルなし:大胆な簡略。読者に、メガネ浮いとる…、と気づかれたら負けな仕様。

 

 横から見たときの描き方にも違いが。

 

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  • 左:目の存在感を重視し、ツルを透過させる。
  • 右:リアリティを重視し、ツルをしっかり描く。
  • 略:そもそもツルを描かない。

 

 どれがいいかという正解はないが、作家というものは細かなこだわりを無数に持っている。

 たとえばメガネに対するこだわりはどうだろう、といった感じでチェックしてみると、よく知っている作品にも、あらたな発見があるかもしれない。

 

 

魅惑のメガネキャラ・ランキング

 メガネというアイテムは、縁なしであればキャラに知性をもたらし、黒縁であればその人物に「地味キャラ」という記号を与える。

 

 クイッ、を連発するなら神経質な面が強調され、光を通さず、レンズ越しの目が見えなくなれば、不気味さが醸しだされる。

 ふだんメガネをかけていないキャラにかけさせれば、貴重なオフショット感がでる。

 

 メガネは、描くのは面倒だが、キャラクター性を強くだせるため、描き手にとっては重要なパーツである。

 よってさまざまな作品に、魅力的なメガネキャラが多数、存在する。

 ということでかってに、漫画、アニメのメガネキャラ・ランキングを。

 

 

メガネキャラ・ランキング第5位:ストーン・フリー『ストーンオーシャン ジョジョの奇妙な冒険』

 

 

 

 いきなりイレギュラーな感じになってしまった。

 ジョジョオタなので、一人はジョジョキャラからランク入りさせようと考えたのだが、ぜんぜん浮かばない!

 

 おかしい、オシャレで知られるジョジョキャラのなかに、メガネというオシャレアイテムを使うキャラがいないわけが……。

 だがまったく浮かばなかった。第6部の主人公、空条徐倫のスタンド「ストーンフリー」くらいしか……。

 

 あ、五部にギアッチョってのがいた。あれはなかなか強烈なキャラだった。

 しかしそれくらいしか浮かばない。

 荒木飛呂彦先生は、メガネが好きじゃないのだろうか。

 あらたな発見をした気になったジョジョオタであった。

 

 

メガネキャラ・ランキング第4位:ムスカ『天空の城ラピュタ』

「嫌なメガネキャラ」というカテゴリーにすれば、ナンバーワンの存在感ではなかろうか。あのメガネ、はたきたいと何度思ったことか。

 

 

メガネキャラ・ランキング第3位:則巻アラレ『Dr.スランプ』

 メガネという、それまではネガティブなイメージが強かったアイテムを、ポジティブなイメージに変えた立役者とされている。

 それはフィクションの世界にとどまらなかったのがすごいところ。現実のファッションにおいても、メガネはオシャレを演出するアイテムのひとつとしてカウントされるようになった。メガネ業界は足を向けて寝られないことだろう。

 メガネ萌えを感じさせた最初、とか、メガネフェチを自覚したきっかけ、といった位置づけにされることもあるようだ。

 私個人としては、小学生のころにアラレちゃんのプラモデルを買ったものの、早々にメガネのツルが折れて悲しかった思い出がある。細すぎた……。

 

 

メガネキャラ・ランキング第2位:乾貞治『テニスの王子様』『新テニスの王子様』

Amazon

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 通常、メガネキャラというものは、ギャグ漫画でないかぎり、レンズの奥の瞳は見えている。

 たまに見えなくなることで、心の内を察せなくするという演出効果を生むのだが、乾の場合は、ほぼつねに、メガネはくもっている。

 

 それにより、なにを考えている読めない、というキャラクター性がとことん強められていた。

 彼は地味を象徴する黒縁メガネの利用者なのだが、とある試合のさなかに負傷したため、こんな姿で登場することになる。

 

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 ミイラ状態である。

 たぶん、笑っていいところ。

 

 テニスの試合でなぜここまで負傷するのかについては、『テニスの王子様』だから、とこたえるほかないのだが、どんな状態にあってもメガネを外さぬ心意気は、メガネキャラの鏡である。

 もはやメガネこそが、彼なのだ。包帯の中身がだれなのかは、どうでもいい。

 

 今年のバレンタインデーには、ファンから5412個ものチョコが届いたそうである。わーお。

 ちなみに1位は、いわずもがな、跡部景吾様、8948個。わーお。

 

 

  さて、栄えある1位は……

 

 

 

 

 

メガネキャラ・ランキング第1位:宮益義範『スラムダンク』

 えっ、だれだ、って?

 

 うーん、マイナーなキャラをあげるといちいち模写しないといけないから大変だな……。彼です、彼。

 

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 神奈川最強、海南大付属高校の控え選手。小柄、かつ華奢という、身体的に恵まれた要素はいっさいなかったが、とにかく努力を重ね、強豪校のユニフォームを勝ち取った。

 

 大一番で、初めての出番。ベンチを立つ彼は、普段の地味なメガネ姿から、競技用ゴーグル姿へと羽化する。スチャッ。

 地味という記号性を持たされたメガネキャラの中でも、もっとも地味であり、かつ、もっとも輝いた気がする。

 

 スラムダンクでメガネといえば、「メガネ君」こと木暮公延をあげる声が多いだろうが、ここはあえて、宮益義範。

 

     *

 

 ということで今回は、メガネについていろいろ書いてみた。クイッ

 

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  ……クイッ

 

 

  む?

 どうしたんだ。

 解放されたはずの、クイッ、がいつの間にか復活してるような……。

 

 ああっ!

 

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 ゴムが切れてる!

 どうしよう。

 私はふたたび、クイッ、にムダな時間を費やすことになるのか……。

 

 

 あっ、閃いた!

 要は、「モダン」に滑り止めがついていればいいのだ。

 

 

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 うん、ダサい!

 小学生のころにいた、ツルの折れた部分にセロハンテープを巻いてしぶとく使っているクラスメイトを思いだした。

 が、つぎが届くまでこれでしのぐとしよう。

 

メガネのズレ落ち問題に最終回答「ピタリング」

 

 

 私はめったに外出しないので、恥ずかしくはない。

 のんびり待つとする。